Vol.07

JN-590 徹底解剖

逆転の発想から生まれた今までに見たことのない回転蝶番を要するJN−590。そのこだわりは様々な素材や造形の随所に見られます。

JN−590は、「セレンディピティ」から生まれた偶然によるカタチ。
セレンディピティとは、思いもよらぬ偶然や予想外のものを発見し、それを上手く活用する力のことを言いますが、このJN-590の上部から見たデザインや、常識では考えられないテンプルの収まり方などは、まさにこのセレンディピティの力によって生まれました。

まず、このモデルのデザインのベースにあったのは、一枚の毛筆で描かれた一筆書きの書。
日本の書に伝わる、止めや跳ね、そこから流れるように繋がるいくつもの文字の表現など、そうしたことをモチーフにしようとこの企画がスタートしました。
最初にラフデザインは通常の丁番がついた今まで通りのメガネでしたが、そのままでは本来表現したかった止めや跳ねのデザインがどうしても丁番部分で途切れてしまうため、何か今までと違ったものを考える必要がありました。

そうした様々な条件を受け、通常ではアイディアに入れることのない丁番の回転方向にも思考をめぐらせ、新しい回転構造を持つテンプルが誕生し、見た目も全く新しいものとなりました。
この新しい丁番構造よってテンプルがレンズの前面に収まり、レンズの保護が可能となりました。こうして新しい視点によって生まれたデザインはすでに実用新案を取得しています。

フレーム素材にはチタンとベータチタンが使われており、眼鏡の機能上、適材適所でそれぞれの特性を活かした材料選択がなされています。
フロント本体とテンプルには軽くて丈夫なチタンが採用されていますが、丈夫だからこそ加工の難易度も必然的に高くなり、鯖江のメガネメーカーの知識と経験、そして高度な加工技術が必要になります。
ジャポニスムのチタンフレームは冷間鍛造という方法で加工されています。この手法は材料を高温で加熱して行う作業がしやすい熱間鍛造に比べ、冷間鍛造の加工は常温で行うため作業はより難しくなります。
しかし、より精度の高い生産が可能であり、手間はその分かかりますがこだわりを持ってこの技法を採用しています。

そしてフロントサイドの大きく湾曲した部分。
メガネの構造上、バネが効く部分をレンズに近く設定するほどテンプルは大きく開くため、このパーツには適度なバネ性と強度を持つベータチタンを採用し、心地良いホールド感を生み出すようなパーツの寸法設定がされています。

また、JN−590に使われているチタン製のノーズパッドはジャポニスムオリジナルのもので、業界初となる左右非対称の形状をしています。
これは人間の鼻の形状は左右で異なり、人それぞれでも異なるため、左右非対称のデザインを起こしました。


これら全てのこだわりは、機能と実用性が自然な形状に内包されており、ジャポニスムが得意とする頭部に馴染むような掛け心地を生むこととなります。

その他詳細やテンプルがどのような回転するかはJN−590の特設ウェブサイトから動画や画像などでご確認いただけます。