ジャポニスムにとっての新しい風となる山根剛にインタビュー

簡単な自己紹介と、いつ&なぜメガネのデザイナーになったのか教えてください。

兵庫県三木市生まれ。大学卒業後、メガネのデザイナーに憧れて2007年に鯖江に来ました。森と田畑に囲まれた土地で生まれ育ったため、同じような環境の鯖江に来た時は、地元に戻ってきたような懐かしい感覚になったのを覚えています。
大学在学中に建築デザインも学んでいたのですが、「規模が大きすぎて自分の許容範囲を超えている。もっと自分だけで完結するような事がしたいなぁ」と思い、徐々にデザインの規模を小さくしていき、最後にたどり着いたのがメガネでした。
ただ、鯖江でメガネに関わりだして、見事に打ちのめされましたね(笑)。これほど、奥が深く独特な環境と、これでもかというほど人と関わり作り上げていくモノだとは・・・。確実に当時はメガネを甘く見過ぎていました。

メガネのデザインをする上で特殊さは感じますか?例えばどんなこと?

メガネは、掛ける人の人格や人生まで変える事の出来るアイテムだと思っています。人は3秒で第一印象がきまると言います。だったら、良くも悪くも掛けるメガネで印象は変えられるという事ですよね。
プロダクトとしての綺麗さと、顔に置いた時の印象。メガネは人に掛けてもらって完成します。人とプロダクトが常に対の立場にあって身体の一部のようなプロダクトはそうないと思います。

デザインをする上で心掛けていること、逆しないようにしていることはありますか?どんなことですか?

デザインの話しではないのですが、少しでもメーカーさんや工場さんと話をするようにしています。PC内で図面だけのやり取りではなくて、直接会って話をする事で、どんな些細な事でも学習になりますし、その話の中からまた新しい何かが生まれるかもしれません。
なにより熟練した職人さんとの会話は楽しいです。一日中PCの前に居ることはほぼありません。それがデザインにも精通することだと思っています。

ジャポニスムのデザイナーになってsenseを担当していますが、どんな思いでデザインしていますか?

程よくトレンドを取り入れたライン。それがsenseです。その時代のトレンドによって多彩な色に変化していけるのが強みのラインなので、今後どう展開していくのかはいい意味で私にも分かりません。その部分が面白いところだと思いますね。枠にはまり過ぎていないジャポニスムの新しいラインとして、軸となる部分はそのままで様々な方向からのアプローチを考えていきたいです。

これからどんなメガネを作って、どんなことを伝えていきたいですか?

日本人の持つ独特な美的感覚と繊細な技術がうまく噛み合ったメガネを作っていきたいです。日本人にしか出せない表現って絶対にあると思うんです。ラインひとつにも表れる事だと思います。そういった表現を壊さないようにメガネに落とし込んだ日本の良さを伝えていきたいです。

山根剛 ジャポニスムデザイナー
1983年 兵庫県三木市生まれ
2008年 大阪成蹊大学芸術部プロダクト科専攻卒業
2014年 (株)ボストンクラブ 入社。